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文化を繋ぐ

クラシック音楽で古典派からロマン派へと時代を繋ぎ、発展させたのはベートーヴェンだったと言われるが、モーツァルト交響曲を書いていなければ、ベートーヴェン交響曲は今のように発展しなかったと言われる。ベートーヴェンの初期の交響曲は、あきらかにモーツァルトの影響を受けている。

そしてロマン派を継承したシューベルトシューマンブラームスらは、いずれもベートーヴェンの影響を受けている。つまり、確立された古典派の流れは継承されている。


一方で、日本の古典落語も、時代の流れを取り入れながらも江戸時代から語り継がれている。落語にも古典ばかりではなく、時事ネタを取り入れた創作落語も人気が高いが、新しいネタであっても、古来から継承された形式を守りながら語られている。


ジャズはどうだろう。最近はコンテンポラリーで、さまざまなジャンルを組み合わせて演じる若者が台頭しているが、やはりこれもスタンダードなナンバーを基盤として確立された「ジャズ」という枠の中から派生している。


ダンスは?演劇は?絵画は?書道は?と、見渡してみるが、いずれも新しいものは確立された古典から派生していると思われる。つまり、ここに「文化」の定義があるのではないか。

短期間で消えてしまうものではなく、人が生きてきた軌跡として永続的に残り得るもの。人と人とを歴史的に繋ぐもの、それが文化なのだと。


このところ落語を聴く機会が多いが、よく演じられる題目に「時うどん」がある。何度聴いても面白く、演者によって全く違う印象を与えてくれる。この「時うどん」が今後も微妙に味付けされながら、語り継がれて行くのだろうと想像するにつけ、我々聴衆も、文化を守るという視点で、演者や演目を育てるという意識を持つ必要があるのではないかと、なにか使命に似たものを感じている。