ダンサーのたまごたち

アマチュアダンサーによるコンテンポラリーダンスのステージを鑑賞した。8月から練習を重ね、プロの振付師による振り付けでステージを作り観客に披露する。テンポの早い進行で、あっという間に60分が終わった。同席の誰かも言っていたが、もっと観ていたくなるような、楽しいステージだった。


ところで、ダンスでもオペラでもコンサートでも、ステージ上にいる時は、佇まいの全てがパフォーマンスになる。だって、客席から見られているからだ。

ピアニストがピアノの前に座っていなくても、ソデから一歩ステージに足を踏み入れた瞬間からパフォーマンスが始まる。歩き方、視線のやり場、手のしぐさ等、観客はしっかり観ている。

プロとアマチュアの違いは、そんな部分への意識の配慮にも現れるのかも知れない。


今日観たアマチュアダンサーのパフォーマンスでは、ステージ上でフォーメーションを変える際の移動が、ちょっとだけイケてなかった。普通に「歩行」しているだけで「身体表現」をしていなかったように見えた。

ダンスのレベルが高かっただけに、もう少しアーティスティックな歩き方は出来なかったのかなと、惜しまれる。


何度もステージを重ねるうちに、細やかな気配りも出来るようになり、ステージ上での動きも洗練されてくることだろう。そう考えると、荒削りだった今日のデビュー戦は、ある意味貴重な一戦であり、この場に立ち会うことが出来た幸運に感謝するべきであろう。ダンサーたちがやがて修行を重ね、スマートに動けるようになった時、今日のステージを懐かしく思い出すことが出来るように、その日を待ち遠しく成長を見守りたい。