美味しい料理と美味しいワイン

この頃、食事会の時などに、ワインを飲むようになった。以前は飲むと言えばもっぱらビール専門だったけど、あるワインの専門店に行ってから、ワインに魅せられてしまった。

飲み方も変わった。以前はとにかくガブガブと流し込んでいるように飲んでいた。沢山飲んで、酔っ払ってご機嫌になっていた。もちろんそんなペースだから、すぐに酔いが回ってじっくり味わうどころではなかった。けれど最近は香りを楽しめるようになった。というより香りを楽しむことを知ったという方が正しいのかもしれない。

美味しいワインは、お料理の味や香りを引き立てて、より美味しくしてくれる。フルーティな白ワインがすうっと喉を通るとき、例えばズワイガニの香りと相まって、お互いの香りをより高め合う。それまでワインはワイン、ズワイガニズワイガニと、別々に味わうことしか経験のなかったわたしは、初めての「香りのコラボ」にいたく感激してしまったのだ。

世の中の大人たちは、みんなこんな素敵な飲み方を知っているのだろうか。「そんなん、当たり前や」と思っているだろうか。でももしも、知らない人がいたら、是非教えてあげたい。お酒はガブガブ飲むよりも、すうっと喉を通す方が美味しいんだと。そして、酔っ払わないお酒の飲み方もあるんだと。


その日美味しい料理と美味しいワインを提供してくれたお店は「フレンチバル パマル」さん。グラスもプレートもおしゃれで、アートみたいに視覚的にも楽しませてくれた。

空腹を満たすだけが食事の目的ではない。そしてお料理や飲み物の愉しみは味覚だけではない。香りや見た目も、その時のコンディションや、一緒にいる人、音や雰囲気など、さまざまな条件が重なってその時の「味わい」を作り出す。

人生の限られた時間を豊かに過ごすためには、食事の摂り方にもこだわってみる価値があるかも知れない。