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難破船

方向の定まらない船にたった一人乗って、大きく揺れている状況って、どんな感じなんだろう。

自分の向いている方角が正しいのかどうかわからない。もちろん誰も教えてくれない。情報は一切入って来ない。ただただ、上に下に、右に左に大きく揺れ続けている。時おり遠くに光が見えるけど、すぐに見えなくなってしまう。ひたすら暗く、何も見えない。わからない。

そんな時は、とりあえずそれまで繰り返して行なっていたルーティンワークをする。意味のある行動なのかどうかなんて関係ない。行為の意味なんて考えてはいけない。自分の存在を維持するためにだけ、行為を続けるのだ。

けれど、そんな状態がいつまで続くだろう。やがて体力にも気力にも限界がやって来る。それでも船は揺れている。


そんな船からは、即刻降りていい。船と一緒に沈む筋合いはないのだ。船から降りていきなり海に飛び込んだら、まず自力で泳がなければいけないが、泳ぐうちに到着すべき岸辺が見えてくる。難破船に乗っていた時には見えなかった「陸地」が見えてくるだろう。そこまでは、自分の力で辿り着かなければいけない。

あるいは何の設備もない不便な島かも知れないが、そこにはきっと光があるだろう。


難破船にしがみついていてはいけない。