取るに足らない悩み

あるひとつの、取るに足らない悩みから解放されるためには、それとは別の取るに足らない悩みを抱えればいい。でも、それだと「悩み」という抽象的な枠からは解放され得ない。ならば、せめて「自分の悩み」というエリアから追い出すことを考える。
例えば友人の悩み相談に乗るというのも有効な方法だ。大切な友人であればあるほど、本気になって相談にのり、本気で考える。友人の気持ちになって考えているので、そうなるともう自分の悩みどころではないのだ。
そしてやがて友人が悩みから解放され、打ち上げっぽい感じで飲み会などを開催し「友人の悩み」が解消してしまうと、さて、次は自分の悩みの番だと、ついこの間まで抱えていた悩みを思い出そうとするのだが、どうにも、かつてのような新鮮な悩ましさには戻れなかったりする。つまり、自然消滅と近い形で解消されていたりする。事態は何ひとつ変わっていないにもかかわらず、である。
悩みとは、いったいどういう存在なんだろう。
今、すごく嫌なことがあるとしても、考え方を変えればそれは本当は自分のためにはいいことなのかも知れない。突き詰めて考えれば、取るに足らない悩みとは、本来は実体がなく、自分の心が作り出している「お化け」なのかも知れない。
生死に関わること以外に重要な事はないと誰か言っていたけど、たしかに、取るに足らない悩みなんてそれほど重要ではないから、自分の中でさっさと処理出来てしまうものなのだ。
って、そんな風に思えるようになるまでには、かなりの思考の紆余曲折が必要だという事も否定出来ない。つまりは、すこし大人になること。
みんな悩んで大きくなったというフレーズがあるが、悩むことは成長への一歩なのだ。どんどん悩んで大人になろう!、。。ただし、あくまでも取るに足らない悩みであること。命の危機に及ぶほどの悩みについては、もちろんあってはならない。