おてほん

ぽっちゃりタイプの友達がいる。いや、正確には、ぽっちゃりタイプの友達が「いた」。
彼女が最近ほっそりと痩せ始めたのだ。血色が悪い訳でもなく、あきらかにダイエットに成功しているようだ。本人に「痩せた?」と聞いても「いえいえ。まだまだ」と謙遜している。でもでも、どう見てもウエストのあたりがくびれている。
友達の成功は、やはりショックだ。彼女はいつもと変わらない笑顔で接してくれるんだけど、どこか置いていかれたような、寂しさにとらわれる。彼女だけカッコいいナイスバディになって、わたしだけぽっちゃりどころか、ぼってりのまま。へこむよね。
彼女が遠くなったと感じたのは、自分に出来ない事を実現したから。これまでの友情に羨望という要素が加わったから。
こころなしか距離を置くわたしの不自然な行動に気づいているのかいないのか、彼女は相変わらず元気で素敵で輝いている。そんな彼女にすこしは近づくことが、当面のわたしの課題となる。いえ、彼女に出来てわたしに出来ないはずはない。
ダイエットって、一朝一夕には出来ない事だから、あれだけめざましく変貌を遂げるまでには、かなりの忍耐と意思の強さが必要だったはず。彼女が通ってきたであろう軌跡を、わたしも辿る覚悟があるか。明日からじゃなくて、今日、この瞬間から。
何れにしても、目標と課題を与えてくれた彼女は、かなりよい友達と言える。大切にしなきゃ。