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現代の文語体

「ずっと好きだったんだぜ」とはCMでも有名な斉藤和義の曲。男の人が女子に寄せていた想いを、粋な口調で表している。そんな風に言われたら、女子としてはポッと頬を染めて笑顔になってしまう。そんな風に。。。
でも、待てよ。今どき「好きだったんだぜ」と、実際に口にして伝える男子がいるだろうか。声にして言ってみると、これは結構気障な言い回しでもある。
でも、だからと言って、もしもこの歌の歌詞が、日常会話的な「ずっと好きだったんだよ」になってしまうと、なんとも軽薄で軟弱な印象を与えてしまう。歌詞としてはやはり「好きだったんだぜ」が与えるインパクトが正解なんだろう。
実際に声に出しては言わないけれど、文章や詩としては充分通用するどころか、その方が相応しいという言葉遣いを文語調というが、さしずめ「好きだったんだぜ」は現代の文語体と言えるだろう。
現代の文語体は、他にもある。例えば上司から部下への指示として使われる「◯◯してくれたまえ」も、そうだろう。実際にどこかの職場で聞かれることは、ほぼないだろう。が、実際に使われている「◯◯しといてくれる?」とか、「◯◯してください」を文字にしてしまうと、なんとも上司らしくなくなってしまう。やはり情景が目に見えない文章という表現で文字だけで上司らしさを表すには「くれたまえ」が相応しいといえる。
実際に声に出して言われることはないけど、文章としてはそれを使う方がいいとされる「現代の文語体」は、探したらまだまだいっぱいあるのかも知れない。そして、多分これは外国語にはなく、日本語に特有の文化なのではないかと思う。
同じ意味を表すのにいくつもの表現や言葉があり、微妙なニュアンスで使い分けている日本語ならではの言語文化を器用に使いこなすことは、他の国の人には出来ないことだ。これは日本人として誇りに思ってもよいのではないかなと、すこし胸を張ってみるのだった。