長く、ゆっくり、遠くまで

ほんの3年前まで、5キロ以上の距離を走ったことがなかった。マラソン大会といっても、ユニセフカップなどに設けられたファミリー3キロの部に出場し、子どもたちと一緒に楽しく走っていた程度だった。

それが、一昨年、友人から「神戸マラソン出て見ない?クォーターだけど」と誘われたことで一転して本気で練習するモードに変わった。クォーターとは42.195キロの4分の1、つまり10キロ強の距離を走るということだ。

それまで週末ランニングといっても家の周りを一周して終わりだったけど、少しずつ距離を伸ばして6キロ、8キロ。。。と、ようやく10キロ走れるようになり、本番でも完走した。

一昨年に引き続き昨年もクォーターマラソンに出場、走ることがどんどん楽しくなった時期に「来年から神戸マラソンでクォーターの部はなくなります」という情報を耳にした。

神戸マラソンは、クォーターもハーフもなく、フルマラソンの選択肢しかなくなると。


それを聞いた時点であきらめていたらよかったものを、10キロ走れるようになってすっかり自信をつけた我々は、なんだかイケる気がして、ついついフルマラソンを申し込んでしまった。そして、厳選な抽選の結果、当選してしまったのだ!


出場することになってから練習を始めるところが、既に間に合っていない。


10キロ以上走らなきゃということで、相変わらず週末のみ、少しずつ距離を伸ばしながら走ってはみたけど、ベテラン諸氏に聞くと、到底そんな走行距離では無理だろうという判断だった。

それでも本番になったらイケる気がして「ノリ」で迎えた本番。楽しくスタートしたけれど。。。


舞子の折り返し地点まで走ったところで、足に違和感を覚えた。コントロールがきかないというか、うまく足が出せないというか。

なので、一緒にスタートして、一緒に走っていた友人に「ここから別れよう」と提案した。友人は最初は「そんなん、あかん」と言ってたけど「わたしに付き合っていると、二人ともゴール出来なくなるよ」と言うと「じゃあ、行くね」と、走り始め、あっという間に視界から消えた。結局彼女は完走した。


ひとりになったわたしは、のらりくらりと足をだましながら、走ったり歩いたり、とりあえずゴールに向かっていた。

いくつかの関門を通過した。いずれも「あと15分で閉鎖しまーす!」とか「あと4分!間に合ってよかったね」というギリギリの状態で通過したので、間に合ってしまった以上は、次の関門まで、またしばらく走る(歩く)ことになるなぁとため息まじりに考えていた。

29キロ地点を過ぎた時、後ろから収容バスが来た。当然、回収されたので、わたしの走行距離はそこで終わった。


29キロなんて、こんなに長い距離を走る(步く)ことが出来たことは、自分の中では新記録であり、フルマラソン完走は出来なかったけど、わたしにとって、今回のゴールはここ29キロ地点だった。こんなに遠くまで連れて来てくらた友だちには、心から感謝する。


来年の話は出ないけど、もう少し短い距離でもいいのかな、なんて話している。今回のランニングで「LSD」という言葉と出会った。LONG  SLOW  DISTANCE  の略らしい。


長く、ゆっくり、遠くまで

なんか、気に入ってしまった。人生にも応用できそうだ。


どこまで行けるかわからないけど、LSDで焦らずぼちぼち行きたいなーなんて、思ってみたりする昨今なのでした。