村上春樹さんから学ぶ感情の連鎖について

村上春樹さんは、小説家として「書く」ことを楽しんでいらっしゃる。だから読んでる私たちにもそれが伝わってきて、なんだか楽しくなってしまう。

エッセイを読むと、毎日ランニングをしているとか、時間を決めて5時間書くことにしているとか、規則正しくもストイックに思える生活を送っていらっしゃるようだが、ご本人は決して「何かを我慢してまで頑張っている」というふうではない。そこが心地よいのだ。


心地よい受信の影にはやはり心地よい発信があると考えられる。

感情は連鎖すると言われるが、グループの中に一人とても機嫌よくはしゃいでいる人がいると、その人につられて他のメンバーも機嫌がよくなり、いつの間にか一緒にはしゃいでいるという効果だ。反対にグループに一人不機嫌で沈んでいる人がいると、他のメンバーも不機嫌なムードになってしまうという連鎖もある。感情というものは、非常に不安定で移ろいやすいので、その場の雰囲気に流されやすいのだ。

村上春樹さんの作品にも見られるのは、これと同じ効果だと思う。読んでいて心地よさを感じる所以は、書いている人の心地よさが伝わっているからなのだ。


ストレス社会と言われる昨今、あらゆる方法での癒しが求められている。いきなり大きな枠を癒すことよりも、まずは身近な、目の前にいる人に心地よさを与えることができるようになりたいと考えるなら、とりあえず自分が心地よく生きることなのかなと、村上春樹さんの作品に教えられている。