つぶやきの行方

トランプ大統領は、就任前からツイッターに思いを書き込んで、その内容に大企業やマスコミが振り回されている。

SNSは思いついたら即刻書き込んで発信できるという点でお手軽に自己主張できるツールである。でも、お手軽である反面、相手の想いや立場や事情にはお構い無しで、一方的に発言してしまい、あとは無責任で済まされてしまうという欠点をも兼ね備えている。

米大統領など著名な人ばかりでなく、一般人として発信している人たちは多いが、発信する内容には気をつけないと、読む人に混乱や不愉快な気分を与えてしまうことになる。文章を世に発信する以上は、プロアマ問わず責任を負わなければいけないだろう。

トランプ大統領の件で驚くのは、ツイッターのつぶやきだけで大企業の経営者が反応し、即刻経営方針を変えたことだ。そこに議論も何もなく、トップダウンというほどの効力もあるはずのない「つぶやき」に従って、である。

世界情勢は目まぐるしく変わりつつあるが、それにしても反応が早過ぎるのではないだろうか。本当にその選択でよかったのか。

本例は、今をときめく時の人の発言だったから、誰もがそのツイートには注目していたけれど、もしもつぶやかれている相手方がそのツイートに気づかなかった場合、そして何も反応しない場合は、経営的に何か不都合が起こるのだろうか。

本例は、大統領就任前だから、そんな方法でしか伝える術がなかったのかも知れないが、今後もそんな方法で発信されるのだろうか。どうして、面と向かって伝えないのだろうか。

SNS等の普及によって、意思伝達の方法も変わりつつあるのだろう。であれば、受信する側の心構えとしては、どのような準備があるのだろう。

例えば何かのつぶやきを読んで「これはもしかして、自分に向けてのメッセージかも知れない」と感じたとして、確認する前に早とちりして動いてしまう可能性もあるし、あるいは、そう感じたとしても、不愉快な案件として無視して済ませる可能性もある。いずれにしても、じっくり話し合うような場は期待出来そうにない。

世の中の情勢と共に人と人とのコミュニケーション方法も変わりつつあるんだなぁと、こちらも一方的に発信している次第である。