捨て去る時

普通に生活していると、不要な物がどんどん溜まる。衣類、食器、本、紙類、プレゼント類など。
気に入っていた服なのに、サイズが合わなくなってしまいクローゼットの隅にしまったままになっている。いつか自分の体が当時のサイズに戻るかも知れないと、ほのかな希望が捨てきれず、服も捨てられないまま何年も過ごしている。一方で新しい服も増えるのでクローゼットは氾濫を起こし、居住スペースを侵害するようになる。
本も同様。昔読んだ本をもう一度読みたくなって本棚を探すが、整理が悪いため探し出すことができない。あるいは捨ててしまったのかも知れないと、また書店で買って読む。それを本棚にしまおうとした時、同じ本が棚の隅から見つかったということもある。無駄に増やしてスペースを侵害して行く。
コンサートに行くとプログラムに大量のチラシが挟まれている。今後開催されるイベントのチラシなので、興味深いものはチケット購入を検討するためにとっておく。コンサートの度に同様のことが起こり、気がつくと棚の上をチラシが氾濫している。氾濫したチラシは床に積まれ、次第に足の踏み場を侵害する。
各種プレゼント類もそうだ。お土産やちょっとした贈り物の数々は、必ずしも自分が必要とするものではない。でも、だからと言って捨ててしまうわけには行かないので、とりあえず部屋の空いたスペースに置いておく。スペースがない場合は、何かの上に重ねておく。1週間もすると、その上にうっすらとホコリが溜まり始める。不要なものが別のゴミを呼ぶというパターンにハマってしまう。
不要なものは、処分しなければいけない。世間では断捨離が流行っているではないか。御多分に洩れず、私もこの流行に乗ってみよう。
まず、衣類を整理した。2年間登板がなかった服たちはリサイクルに出した。本はとりあえず整理。図書館も有効活用することにする。チラシは必要な分だけ抜き取り、残りは処分。お土産は「これ、一生使わないな」と思われるものは写真に撮って画像として保管。現物は破棄する。などなど。
思いつける限り整理して部屋を見渡すと、自分がこれまで住んでいた部屋が意外に広かったことに気づく。何もなくなったテーブルの上で、次は何をしようかと、やる気や創作意欲が湧いてくる。そして何より、気持ちよく暮らすことが出来るようになる。
思い切って捨てることの効果は、想像以上にあるようだ。