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覚えられない人

記憶力が低下する健忘症と似ているが、少しタイプの違う「記銘力障害」というものがあるようだ。物忘れする以前に、覚えられなくなるらしい。
それは新しく体験したことを覚えておくことができなくなる障害のことで、記銘力低下ともいう。重症になると数秒あるいは数分前のことがわからなくなってしまうことがあるらしい。深刻だ。
これが、意外にもアルコールの摂取と関係があるというので、より身近な問題として感じるようになった。
食事を摂らずにアルコールを大量に摂取するとビタミンB1が欠乏する。ビタミンB1が欠乏すると脳内で糖からエネルギーを作り出す代謝機能が破綻し、脳に障害が現れる。これがウェルニッケ=コルサコフ症だという。
この病気になると、新しいことがなかなか覚えられなくなり、昔からの記憶も忘れてしまう。あれこれ記憶がなくなってゆくので、つじつまを合わせるために作り話で繋げるという。つまり、ありもしない話をそれらしく語り始めるのだ。迷惑な話である。
迷惑以前に、当事者には深刻だ。断酒や栄養補給など、生活を改善しなければいけない。でも、症状の改善は難しいとも言われる。壊れた脳の機能は、もう治ることはないのだと。
アルコールはわたしも好きなので、飲む機会は多い。飲むと調子がよくなって、どんどんと杯を重ねて酔っ払ってしまうこともある。さらに、毎日飲酒を続けていると、次第に日々の飲酒量が増えて行くので、気をつけなければいけない。欲するままに増え続けると、やがてはアルコール依存症になってしまう。そしてアルコール依存症の人に記銘力障害が発症しやすいというのだから、この「記銘力障害」は遠い世界の物語では決してなく、すぐ隣に潜んでいる現実ともいえる。
楽しくお酒を飲みたいけれど、度を越さないように、いつもコントロール出来なければいけないなと、大人の飲み方について考えつつ、ドメーヌ・パラン ブルゴーニュのシャルドネ2011年の栓を開けた。