時を重ねることについて

日曜日、ある区民センターでアマチュア音楽家の発表会コンサートが開催された。友達が出演するので、応援に行って来た。

幼いピアニストや、ママさんコーラスグループ、ハモニカ独奏など、バラエティに富んだジャンルの発表が続く中、トリをつとめた方は89歳の男性だった。黒のタキシードに蝶ネクタイの晴れ姿でステージに立ち、独唱されたのはシューベルトのセレナーデなどドイツリートだった。

奥様のピアノ伴奏にのせて朗々と歌い上げるその姿は、実に魅力的で、胸を打つものだった。充実した年の取り方をなさっているなぁと。

昨年秋には300名収容のホールでリサイタルを開いたという。89歳になってなお、チャレンジをやめない姿に感服する。人生に「これで終わり」はないんだと教えてくれる。

わたしは、その年まで生きているだろうか。生きていたら、どこで何をして生きていることだろう。かの紳士のように生き甲斐を見つけて日々を充実のうちに過ごしているだろうか。

そして最後の瞬間「いい人生だった」と心から言えるように、丁寧に時を重ねることが出来ているだろうか。

まだ見えない未来。でも、やがて確実にやってくる「老い」。。。決して後悔することのないように、人生もっとはじけたい。既定のルールに縛られることなく、自由に時を重ねて行きたいな。

たしかに生きたといえる証を、刻んで行きたい。